相続税対策や円満相続を目指して遺産相続に前もって備える!

   

遺産相続が行われると、財産を手にするのと同時に相続税などの問題も生じます。特に平成27年から相続税が改定されたために、大きな遺産を手にする人に限らず、相続税の納税対象者が増えています。そのため相続税対策を前もって意識する人が増えているようです。そこで今回は相続トラブル対策も含めて遺産相続に関して取り上げたいと思います。

1.相続税の改正により課税対象が引き下げに!?

相続や遺贈により取得する財産に関わる相続税に関して改正があり、平成27年1月1日より適用されています。
1-1. 基礎控除の改正
基礎控除の金額が60%に減額されました。
改訂前:5,000万円+(1,000万円×法定相続人数)
改定後:3,000万円+(600万円×法定相続人数)
この改定によって基礎控除が大きく減額されたため、相続税の申告が必要となるケースが増加する可能性があります。
1-2. 小規模宅地の特例
個人が、相続又は遺贈により取得した財産のうち、その相続の開始の直前において被相続人等の事業の用に供されていた宅地等又は被相続人等の居住の用に供されていた宅地等のうち、一定の選択をしたもので限度面積までの部分である小規模宅地等については、要件を満たす場合は限度面積までの部分について、評価額を50%~80%減額することが出来ます。今回の改定によって評価の減額が行われる限度面積や適用面積の拡大が行われました。
改訂前:特定住居用宅地等 240㎡ + 特定事業用宅地等 400㎡ 合計で最大 400㎡
改訂後:特定住居用宅地等 330㎡ + 特定事業用宅地等 400㎡ 合計で最大 740㎡
今回の改定によって、遺産相続の価値や内容を意識する人が増えています。

2.どういう相続権があるの?

2-1. 法定相続人

遺産相続において、被相続人が遺した相続財産を受け継ぐ立場にある人を法律によって定められており、その相続人を「法定相続人」と言います。兄弟や妻子、養子など複数に相続の権利があり順序も決められています。

■相続人の範囲は下記の通りです。

・被相続人と婚姻関係にある人物、配偶者
・被相続人と配偶者の子供、または孫 
・被相続人の両親
・被相続人の兄弟姉妹、またはその子供にあたる姪
2-2. 遺言書を基にした相続
法的に定められている法定相続人とは別に、被相続人が遺言書によって、相続相手を指定し遺産を渡すことを「遺贈」といいます。通常の相続の場合は相続財産全てを受け取るのに対して、遺贈は遺言によって遺産の一部、または全部を無償で、あるいは一定の負担を付けて法定相続人以外にも相続させることができます。
2-3. 法定遺留分
遺言書によって、法定相続人以外にも全財産を遺贈することが出来ますが、そのことによって、残された家族に何も財産が残らない状態、家を失い生活も出来なくなるような不利益が生じる場合もあります。それを防ぐために、法律では一定の相続人が自らの権利によって財産の一部を確保できるようになっています。それが「法定遺留分」という制度です。遺言書によって相続分の指定があったとしても無効となるわけでなく、遺留分相当の財産を請求することが出来、相続財産を取り戻すことが出来るのです。
2-4. 配偶者控除
遺産を相続した配偶者には、配偶者控除という制度によって税金が安くなる制度があります。被相続人が財産を築き上げる段階において配偶者は助け合い、大きな役割を果たしてきたことを考慮し、また配偶者の老後を保証するためにも控除という制度が設けられています。配偶者控除を受けるためには、申告期限までに配偶者の相続分を決め、申告書を提出する必要があります。
2-5. 相続方法の選択
相続方法には、単純承認・相続放棄・減退承認(限定相続)という方法があります。
・単純承認・・・被相続人の権利義務を無限に承継する方法です。特に手続きはありませんが、一度この方法を選択した場合は取り消すことが出来ないので、負債を抱えている可能性がある場合などは慎重に調査しなければなりません。
・相続放棄・・・相続人は相続権を自分の意志で放棄する権利も持っています。相続放棄を決めたなら、自己のために相続を開始されたと知った日から3か月以内に相続放棄の手続きを行わなければなりません。
・限定承認・・・相続によって得た財産の限度の範囲内で、マイナス財産も相続することです。相続した財産のうち、マイナス財産の方が多くても、プラスの財産と同額のマイナス財産も相続するということを意味します。

3.相続争いが起こる可能性もある!?

残念ながら、遺産相続に関するトラブル、相続争いは後を絶ちません。今後の親戚関係に影響する遺産相続を円満に行うために、自分の資産を残す立場にある人も、相続する立場にある人も、どちらも協力して対策を取ることが必要です。
3-1. 遺言書を準備する
遺言書が無い場合は、相続権のある人たち全員の承諾のもとで遺産相続の分配が決まってきます。そのため、それぞれが自分の取り分を主張し争いが生じることが増えているため、争いを防ぐために遺言書を準備しておくことをオススメします。また、遺言書を準備するうえで、内容の不備によって遺言が無効になることや、偽造されるといったトラブルを防ぐために公証人が遺言を聞き取り作成する公正証書遺言を残しておくという方法が効果的です。原本は公証人役場で20年保存されるので、遺言書の紛失も防げます。
3-2. 生前贈与という方法
被相続人が亡くなる前に自分の財産を分け与える生前贈与によって、確実に遺産を相続したい相手に渡すことが出来、事前にトラブルを防ぐことが出来ます。また、生前贈与によって相続税を抑えることも出来ます。
4.今から、遺産相続に備えるために出来る事
4-1. 遺言書の準備
親を含め、家族に遺言書を書いてほしいと伝えることは、なかなか難しいナーバスなことですが、その点で役にたつのが、「エンディングノート」です。遺産相続を含んだ遺言書や今後の医療の希望などをまとめて書き込めるノートです。これを、親だけでなく自分も含め家族それぞれで準備したり、親にプレゼントしたという人もいます。お互いのために、具体的かつ実際的な方法で遺産相続に向き合っていくアイテムのひとつです。
4-2. 現金を土地や建物に変えて節税
財産の種類によっては相続税の節税対策や、資産を運用することで納税資金源をつくることもできます。例えば、現金で土地を購入し建物を建てて不動産に変えることが出来ます。そうすることによって、賃家建付地等の評価減特例を受けることも出来ますし、不動産による家賃収入を納税資金として利用することも出来ます。借金をして収益不動産を購入するのも節税対策の一つとして効果的です。
4-3. 生命保険を活用した節税
現金で支払われる生命保険は、払い込んだ保険料相当分だけ相続財産を減少でき相続税が少なくなります。死亡後に支払われる保険金は相続税の対象ですが、遺族の生活を守るために500万円×法定相続人の数だけ非課税となります。現金であれば、相続税対象になりますが、生命保険の死亡保険金として受け取ることで相続財産の減少に加え、納税資金の準備や非課税財産による節税にもなります。
4-4. 相続した後の使い方も考えておく必要がある
遺産相続の話し合いの際などでは、財産価値や金額の大きさばかりに目を向けがちですが、遺産を相続した後には、様々な税金が発生してきます。手にした財産を管理したり運営することも忘れてはいけません。そのため、相続前に分かっている遺産などに関しては、どのように使うか、運用していくかを前もって考えておくようにしましょう。

まとめ

平成27年の法律の改定によって、相続税の納税対象者が増え遺産相続を意識する人が増えています。法律によって相続権のある人は定まっていますが、分配や相続の選択などによって、相続争いといったトラブルがよく生じています。相続争いを避けたり、遺産相続後の税金などの負担を軽減するために、遺言書を準備することや節税対策を行うこと、使い方を考えるなど、被相続人、相続人どちらも前もって行えることがあります。円満相続を目指して、今出来る事を家族で話し合っておきましょう。

【担当: 大原 敦】

 - 税金

  関連記事

  おすすめ記事